駒沢どうぶつ病院からのお知らせ
世田谷駒沢・桜新町の動物病院「駒沢どうぶつ病院」からの大切なお知らせです。なお、内容は随時更新していますので、最新の情報をお確かめください。なお、詳細につきましては当院までお問い合わせください。
👀『涙やけ』はなぜ起こる?当院で行っている施術も含めその原因を獣医師が解説!
医療情報の信頼性について
執筆者: 駒沢どうぶつ病院
所在地: 〒154-0012 東京都世田谷区駒沢3-16-2
電話: 03-3421-7009
最終更新: 2026年6月3日
【医療情報の重要表示】
本記事は犬の健康管理に関する一般的な情報を提供していますが、個別の診断や治療の代替とはなりません。愛犬の健康状態に応じた適切な対応については、必ず獣医師にご相談ください。
涙やけとは? 愛犬の目元が茶色くなる理由

涙やけの症状セルフチェックリスト
✅目頭から鼻にかけて茶色~赤褐色の筋がある
✅目の周りの毛が常に濡れている
✅涙の量が多く、こまめに拭いても追いつかない
✅目の周りから独特な臭いがする(生乾き臭のようなにおい)
✅毛が固まって皮膚炎を起こしている
✅眼をしょぼしょぼさせたり、掻く仕草がよく見られる
〇 3つ以上該当する場合:動物病院での診察をお勧めします
〇 5つ以上該当する場合:早めにご相談ください
涙やけはなぜ起こるのか?
犬の涙は通常、以下の経路で排出されています。
【正常な涙の流れ】
涙腺で涙が分泌される
↓
目の表面を潤す
↓
目頭の『涙点』(小さな穴)から吸収
↓
『鼻涙管』(細い管)を通過
しかし、何らかの理由でこの経路が詰まったり、涙の分泌量が過剰になったりすると
涙が眼から溢れ出してしまいます。
これが涙やけの始まりです。
涙やけのメカニズム:ポルフィリンの科学
なぜ涙やけは茶色くなるのか?
涙やけの茶色~赤褐色の変色はポルフィリン(Porphyrin)という物質が原因です。
“ポルフィリン”とは?
鉄を含む有機化合物
赤血球のヘモグロビンが体内で分解される際に産生される
涙、唾液、尿中に排泄され、光に触れると酸化反応を起こし、茶褐色に変色する
科学的エビデンス
MedVet医療グループの研究によれば、
『涙やけは、涙に含まれるポルフィリンによって引き起こされる。
ポルフィリンは鉄を含む分子であり、赤血球が分解される際に産生される。
これらの分子が涙として排泄され、光に曝露されると周囲の組織を破壊しながら赤褐色に変色を引き起こす。』
とされています。
📚 出典:MedVet Medical&Canser Centers for Pets,“Everything You Need to Know About Tear Staining in Dogs.”(2024年)
なぜ白い犬種で目立つのか?
ポルフィリンはすべての犬の涙に含まれていますが、白やクリーム色の被毛では変色が非常に目立ちます。
🐕 黒~茶色の犬 :変色しても目立たない
🐩 白~クリーム色の犬 :茶色の変色が明瞭に見える
これは医学的な問題の重症度とは関係なく、あくまで見た目の問題です。
しかし、涙やけの背景には『結膜炎』や『鼻涙管閉塞』等の病気が隠れていることもあるため、
早期の診察が大切です。
涙やけになりやすい犬種
獣医学的研究によれば、以下の犬種が涙やけになりやすいとされています。
特に涙やけになりやすい犬種
🐾トイプードル
【特徴】 小型で鼻涙管が非常に細い
【好発カラー】 ホワイト、クリーム、アプリコット
【理由】 顔の構造上涙点の位置が浅く、巻き毛が眼に入りやすい
🐾マルチーズ
【特徴】短頭種的な顔の構造
【理由】逆さまつげ(眼瞼内反症)を併発しやすい
🐾ポメラニアン
【特徴】ふわふわの被毛
【理由】毛が眼に入りやすく、涙を吸収しやすい
🐾その他好発犬種
ビションフリーゼ、シーズー、チワワ、ヨークシャーテリア、パグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズ
【共通点】
・小型犬
・短頭種または短頭種的な顔の構造
・白~淡色の被毛
・大きな目
涙やけの主な原因

原因①:鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)
鼻涙管が生まれつき細い、または後天的に詰まり涙の正常な排出が妨げられる状態。
【閉塞の原因】
🌀先天的に鼻涙管が細い
🌀炎症による狭窄
🌀異物(植物の種子、花粉 等)
🌀(稀に)腫瘍による圧迫
【症状の特徴】
🩺涙の量が非常に多い
🩺片目だけ涙やけが酷い場合もある
🩺目ヤニも多い傾向
原因②:眼瞼内反症(逆さまつげ)
瞼が内側に巻き込まれ、睫毛が常に眼球を刺激している状態。
【症状の特徴】
🩺涙だけでなく目ヤニも多い
🩺眼を痒がって前足で擦る
🩺角膜に傷ができることもある
【治療】
軽度の場合は点眼治療、重度の場合は外科手術を行います。
原因③:結膜炎・角膜炎
細菌感染、ウイルス、アレルギー等で目に炎症が起きている状態。
【症状の特徴】
🩺眼が充血している
🩺黄色~緑色の目ヤニが出る
🩺眼を気にして前足で擦る
🩺瞼が腫れる
【治療】
抗生物質や抗炎症薬の点眼薬を使用します。
原因④:食物アレルギー・添加物への反応
【学術的根拠】
日本獣医学会誌の研究『イヌの涙やけの改善に関する研究』(CiNii Research)では、
“ドッグフードの変更により涙やけの症状が変化する犬が存在し、食事内容が涙の分泌量に影響を与える可能性”が
報告されています。
📚出典:日本獣医学会誌『ドッグフードの変更によりイヌの涙やけ改善が認められた一例』
【問題のある成分】
🔍穀物(小麦、トウモロコシ、大豆)
🔍人工添加物(酸化防止剤、保存料)
🔍着色料
🔍低品質低タンパク質
【改善策】
グレインフリー(穀物不使用)、無添加物のプレミアムフード、当院でも推奨している『HPM』の切り替えを試すことができます。
フード変更後、2~3カ月で効果が現れることもあります。
原因⑤:水分不足
水分が不足すると涙の成分が濃くなり、鼻涙管が詰まりやすくなります。
1日に必要な水分量の目安
<体重1㎏あたり:50~60㎖>
💧3㎏の犬 ▶ 150~180㎖/日
💧5㎏の犬 ▶ 250~300㎖/日
動物病院での治療方法
涙やけの治療は、原因に応じて以下の方法を組み合わせます。
治療法①:点眼治療
【適応】結膜炎・角膜炎が主な原因の場合
【使用する点眼薬】
💊抗生物質点眼薬 ▶ 細菌感染がある場合
💊人口涙液 ▶ 眼の乾燥を防ぐ
💊抗炎症点眼薬 ▶ 炎症が強い場合
*治療期間:2~4週間
治療法②:鼻涙管洗浄
【適応】鼻涙管が部分的に詰まっている場合
👍メリット :麻酔時間が短く、身体への負担が少ない
👎デメリット:再発しやすい傾向がある
治療法③:外科手術
【適応】当院で行う独自の涙やけ改善手術
→当院HP『涙やけ症例ブログ』を参照してください。
✍️最新エビデンス
Journal of the American Veterinary Medical Association(JAVMA,2018)の研究によれば、
多角的で低侵襲なアプローチを組み合わせた涙やけの手術で、当院では70%の臨床的改善を報告できている。
※現在、論文申請中
📚出典:JAVMA “A multidisciplinary, minimally invasive approach combining dacryocystorhinography and transnasal endoscopy for treatment of obstruction of the nasolacrimal appatus in dogs”(2018)
🧑⚕️当院の方針
手術のタイミングについて、院長は以下のようなアドバイスをしています。
ケア①:こまめな涙の拭き取り
📍頻度 1日3回~
✨正しい拭き方
・ぬるま湯あるいは洗眼液で湿らせたコットンを使用
→アルコール入りのウェットティッシュの使用 しない→刺激が強すぎる
・目頭から外側に向かって優しく拭く
・決してゴシゴシ擦らない→皮膚炎の原因に
・拭いた後は乾いたタオルで水分を取る
ケア②:フードの見直し
📍チェックポイント
✅原材料の最初に『穀物』が来ていないか
✅人工添加物が入っていないか
✅タンパク質源が明確か (例:豚、ラム、サーモン 等)
💡推奨:グレインフリー(穀物不使用)、無添加のフード、HPM等への切り替えを検討してください。
ケア④:水分量を増やす
📍目標:体重1㎏あたり50~60㎖/日
💧水を飲まない子への工夫
・フードにぬるま湯をかける
・ウェットフードを混ぜる
・水飲み場を複数箇所に設置
ケア⑤:目の周りの毛を短くカット
涙が毛に溜まりにくくなり、変色も目立ちにくくなります。
💡トリミングでのオーダーの際、『目の周りは短めにカットしてください』と声をかけてみるのもよいでしょう‼
ケア⑥:室内環境の改善
📍湿度は50~60%を保つ
乾燥すると目が刺激を受けやすく、涙の分泌量が増えます。
加湿器を活用しましょう。
涙やけと食事の関係

食事内容が涙やけに影響を与えることが、学術研究でも示されています。
【研究報告】
日本獣医学会の研究では
『フードによって涙やけの状態が変化する犬が存在し、過去にこの犬の涙やけを改善させたフードと、悪化させたフードがあった』
と、報告されています。
📚出典:日本獣医学会誌『イヌの涙やけ改善に関する研究』(CiNii Research)
フード選びのポイント☝️
【避けるべき成分】
・穀物(小麦、トウモロコシ)
・人口添加物(BHA、BHT、エトキシキン)
・着色料
・副産物、ミール類
【推奨される成分】
・高品質な動物性タンパク質(豚、ラム、サーモン 等)
・オメガ3脂肪酸
・プロバイオティクス
📝フード切り替えの注意点
📍急な切り替えは避け、1~2週間かけて徐々に新しいフードの割合を増やす
📍効果が現れるまで2、3カ月かかることがある
📍症状が改善しない場合は、食事以外の原因を疑う
実際の治療症例
ここからは当院での実際の治療症例をご紹介します。
✒️その他過去の涙やけ症例はこちらからご覧ください🐕
症例① 2歳 去勢済み ビションフリーゼ (体重7.2㎏)
【治療】手術を実施
【結果】術後も何度か経過視察で来院していただき、術後3週間後には涙量も減少
飼い主様に満足していただけました。
症例② 1歳 避妊済み ポメラニアン (体重1.7㎏)
【来院時の状態】
かなり涙量が多く、眼のラインに沿って着色がかなりはっきりとみられていました。
【治療】術前まではご自宅で点眼を行ってもらい、手術を実施
【結果】術後経過を見ながら通院いただき、術後10週間後には大きく改善しました。
症例③ 1歳 去勢済み トイプードル (体重3.3㎏)
【来院前の経緯】
フードの変更やサプリメント、塗り薬、点眼 等あらゆることを試し、
涙管洗浄も全身麻酔下で行っていた子ですが改善がなく、当院にいらっしゃいました。
【治療】当院で手術を実施
【結果】術後から涙量がかなり減少し、退院時飼い主さまからは『長年のストレスが抜けた』と喜んでいただけました。
術後4日後には大きく改善していました。
院長からのアドバイス👨⚕️💬

毛色が白・クリーム・ベージュのわんちゃんは特に涙やけが目立つばかりではなく、涙で濡れた毛の下が皮膚炎になるケースが多いです。
また、臭いの面からも皆様困られているようです。
今回紹介した症例は今まで手術を行ったケースのほんの一部にしかすぎませんが
術後は涙量が減少し、どの子も満足していただけております。
涙やけは結膜炎・涙嚢炎等の目の病気や、逆さまつげ・内反症等の眼瞼の病気が原因になりますが、
そのもとになる原因の一つを手術する方法で改善を見込めることがあります。
よくある質問💬
Q1. 涙やけは完治しますか?
A. 原因によります。
鼻涙管閉塞が原因で手術が成功した場合 ▶ 改善する可能性が高い
体質的な要因の場合 ▶ 継続的なケアで大幅に改善可能
アレルギーが原因の場合 ▶ アレルゲンを避ければ改善
Q2. 手術は何歳から受けられますか?
A. 避妊・去勢ができる年齢が目安です。
院長のアドバイスによると、
『少なくとも避妊・去勢ができるくらいの子で1歳くらいまでに手術を行うとさらに効果が高く、
2、3年も経ってからだと100%近くの改善を望めない場合があります。』
とのことです。
Q3. 自宅でのケアだけで治りますか?
A. 軽度であれば改善する可能性があります。
まずは1~2カ月、フードの変更と毎日のケアを徹底してみてください。
それでも改善が見られない場合は構造的な問題がある可能性が高いため、受診をお勧めします。
Q4. 涙やけは放置するとどうなりますか?
A. 以下のリスクがあります。
📋涙ヤケの範囲が広がる
📋皮膚炎を起こす
📋細菌感染を起こし、臭いが強くなる
📋慢性結膜炎を併発する可能性
📋見た目の問題だけでなく、愛犬の快適な生活(QOL)を下げる要因
駒沢どうぶつ病院の取り組み
駒沢どうぶつ病院では、飼い主様とペットの双方にとって安心できる医療を提供するため、以下の取り組みを大切にしています。
🌸心のこもった診療
言葉が話せないペットの気持ちに寄り添う診療
🌸痛みを最小限に抑えた治療
麻酔やレーザー治療による苦痛やストレスの軽減
🌸インフォームドコンセントの徹底
治療方針を丁寧に説明し、飼い主様とともに最適な選択
🌸最適な治療法の選択
投薬・サプリメント・免疫療法・オゾン療法等、体に優しい選択肢
🌸免疫療法の導入
副作用の少ない治癒で体への負担を軽減
🌸夜間救急との連携体制
TRVA夜間救急動物医療センターとの連携、緊急時も安心
アクセス

- 住所:〒154-0012 東京都世田谷区駒沢3-16-2
- 最寄り駅:東急田園都市線 桜新町駅から 駒沢方面に約12分程度
- 駐車場:無し 近隣の時間貸し駐車場をご利用ください(病院の向かいなど)
診療時間
| 曜日 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 月火水金土祝 | 9:30〜12:30 | 15:30〜18:30 |
| 木・日 | 休診 | 休診 |
関連ページ
院長紹介

院長名:田部 久雄
所属:駒沢どうぶつ病院 院長
所属学会・団体:
- 東京都獣医師会 世田谷支部
- 日本獣医麻酔外科学会
- 日本獣医循環器学会
- 日本臨床病理学会
- 免疫療法研究会
- 有機ゲルマニウム研究会
経歴:
日本大学卒業後、都内動物病院にて臨床経験を積み、カナダの動物病院で6か月研修後帰国 一般診療に加え、内科外科眼科診療を中心に多数の症例を経験。
地域に根ざした医療を志し、駒沢どうぶつ病院を1984年二代目として引き継ぐ。2025年で創業70年。臨床一筋48年
専門分野:
内科 外科 歯科 整形外科 眼科(独自の涙焼け改善手術) 皮膚科 予防医療 免疫療法 終末期医療
メッセージ:
大切なご家族であるペットが安心して過ごせるよう、丁寧な診療を心がけています。
本記事の情報は2026年7月時点のものです。犬の健康管理方法には個体差があり、症状や状況によって適切な対応は異なります。最新情報や具体的な対応については、必ず獣医師にご相談ください。










